空海遍路文化会館 高知県室戸市

2020.3
高知県、室戸岬
お遍路道のランドマークとして建立された
空海遍路文化会館。
https://www.kukai-henrobunka.jp/purpose/
空海が修行をした地として有名、、、、
ということも、当初私は良く知りませんでした。。(恥


建築は木造2階建ての日本建築。
柱の太さは直剣80cm以上もあるこの上なく重厚な造りです。



この会館は文字通り空海修行の地としての歴史を後世に
伝える文化会館としての側面と、
お遍路さんが荷物を下ろし骨休めする休息の場として活用いただく
ことを目的に建設されたものです。

照明デザインのお話をいただいた際には恐縮する気持ちが先に立ち
お請けして良いものかとかなり悩みました。
私の師匠からの推薦いただいたお話でもあり、
師匠にもよく相談した上で、気を引き締めつつ
お請けすることにいたしました。

1階には、会館を自費で建立された金剛頂寺ご住職、坂井智宏氏の紹介を始め
空海とお遍路の歴史をたどる映像などが展示されています。

1階の別室にはお遍路さんの休憩スペースがあり
樹齢500年以上の大欅の一枚板のテーブルに圧倒されます。

見上げると重厚な木組みが。
夕方以降、投光器で木組みが照明される用にセットしてあります。

水平線に沈む夕日は絶景。
その昔、この海に走る灯を見て、空海は開眼されたと言われています。

















室戸には長い期間を掛けて何度もお邪魔させていただきました。
空海修行の地で大変ご功名なご住職にお目にかかり、
私は少しずつ照明との向き合い方が変わっていくのを感じていました。

途中、どのように照らしたら良いか分からなくなり、
空海が座して修行したといわれる岩の上に半日ほど座禅を組んで
ひとり過ごしたことがありました。
お遍路未経験の私でしたが、短い出張期間中の時間を利用して
お遍路道の一部を歩いたことも今思えばよい思い出です。
(その時はただ焦っていた私)
会館に関係するたくさんの方々の想いを知り
史実に誠実に向き合う人々のことを知り
たくさんの室戸の方々との交流を通じて人間模様を知り
1年半の時を経て、
ふと気が付いたら迷いや恐れがなくなっていました。
照明におけるテクニックやセンスや経験、まだまだです。
しかし、私に圧倒的に足りなかったのは・・・覚悟。です。
光を照らす行為には、時にこれほどまでの覚悟が必要になるということを
私は空海遍路文化会館の案件を通じて学びました。
大げさかもしれませんが(恥
空海からいただいた贈り物かも、、と勝手に思っています。
(楽観主義で・・すみません)
